皆さんこんにちは。
神奈川県座間市と海老名市を拠点に、住宅の外構・エクステリア工事や景観コンクリート工事を手掛ける株式会社髙野です。
段差のある場所を通行しやすくするためのスロープ(傾斜路)は、さまざまな公共施設や商業施設に設置されています。特に多い設置場所が、建物の入り口・玄関です。とはいえ、一般の住宅にまでは必要ないだろうと考える方もいるでしょう。
しかし、玄関スロープは建物の安全性・利便性を大きく高めてくれる設備であり、一般住宅にもぜひ設置しておきたいエクステリアなのです。ここでは、玄関スロープのメリット・デメリットや、リフォームで後付けする際のポイントをご紹介します。
■今の時代は、自宅にも玄関スロープが必要です!
現在、ショッピングセンターのような商業施設や、駅・学校・病院・役所といった公共施設では、バリアフリー化が推進されています。国も、いわゆるバリアフリー新法を制定するなどして、建物や公園などのバリアフリー化のルールを設けています。その結果、通路や室内の段差はどんどん撤去され、玄関などにはスロープが設置されるようになりました。
バリアフリー化が推進されている理由はもちろん、高齢者や障害者でも安全かつ円滑に生活できる環境を作るためです。足腰の弱った高齢者や身体の不自由な人、車椅子の人は、階段や玄関の框(かまち)を乗り越えるだけでも苦労します。室内の敷居などの小さな段差につまずき、大怪我をして寝たきりになることも珍しくありません。
特に近年の日本は高齢化が進み、移動に負担を感じる人が増加しています。誰かのサポートがなければ満足に移動できないような状態になると、生活が不便になるのに加え、精神的にもつらい思いをするでしょう。このような時代の変化に対応すべく、段差の撤去工事やスロープの設置リフォームは、あらゆる施設で需要が高まっているのです。
そして、公共の施設だけでなく、一般の住宅にも同じことがいえます。たとえ住み慣れた自宅でも高齢になれば、以前は何ともなかった段差が大きな障害と化します。親の介護はもちろんですが、自分自身が高齢者になった時に備え、住みやすい家にリフォームしておくことが大切です。まだ元気なうちから、玄関や室内の段差にスロープを設置しておくのが望ましいでしょう。
■玄関スロープのメリット
玄関スロープを自宅に設置すれば、高齢者や体の不自由な方はもちろん、家族みんながメリットを得ることができます。玄関スロープの主なメリットを見ていきましょう。
・車椅子やベビーカーでも移動しやすくなる
車椅子の方やベビーカーを押している方にとっては、1cmの段差も大きな障害であり、玄関の段差を乗り越えるのも楽ではありません。しかし、玄関スロープがあれば、車椅子やベビーカーでもスムーズに段差を越えられます。
特に車椅子ユーザーにとっては、「自走して家を出入りできる」という点が非常に重要です。介助人なしでも気楽に外出できるようになれば、高齢者や障害者の自立につながり、充実した生活を送ることができます。
・段差がなく安全になる
段差があると危険なのは、高齢者や障害者だけではありません。若くて健康な方にとっても、段差は十分危険なものです。大怪我をしたわけではなくとも、玄関先の段差でつまずいたり、足を踏み外したりした経験のある方は多いでしょう。
特に小さなお子様にとっては、たった1段の段差でも危険です。実際に、12歳以下の子供の身に起きた事故のうち、7割近くが住宅内で発生していることが判明しています。家族みんなが安全に暮らせる家を作るためにも、玄関スロープを設置しておくのがおすすめです。
・素敵なエクステリアになる
玄関スロープは単なる通路ではなく、家を彩るエクステリアとしての側面もあります。素材やデザインにこだわれば、スロープは立派な装飾となり、玄関付近を美しく演出してくれるのです。表面の仕上げ方法にこだわる、周囲の舗装にレンガや天然石を使うといった工夫を行い、高級感を出してみましょう。
なお、スロープを設置すると玄関周辺がごちゃごちゃするイメージがあるかもしれませんが、心配はいりません。スロープ自体の素材やデザイン、そして周辺に配置するアイテム次第で、すっきりした印象にすることは可能です。そのためにも、しっかりと施工プランを考える必要があります。
■玄関スロープのデメリット
玄関スロープはとても魅力的なエクステリアですが、いくつかデメリットもあります。設置する際は、以下の点にご注意ください。
・設置には十分なスペースが必要
安全で使いやすい玄関スロープを設置するためには、どうしても一定以上のスペースが必要になります。長さの詳しい計算方法は後述しますが、段差の高さによっては長さ5mを超えるスロープを設置しなければなりません(折り返して設置することも可能)。また、車椅子でも安全に通行できるようにするためには、最低でも100cm以上の幅が必要です。
十分な長さや幅のスロープを設置するのが難しい場合は、他の対策を考える必要があります。手すりを設置する、1段の高さ(蹴上げ)が低い階段にリフォームする、昇降機や段差解消機を設置するといった方法を使いましょう。特に昇降機や段差解消機があれば、車椅子のまま安全に段差を通過できます。
・施工費用がかかる
安全性に配慮したスロープを設置する場合は、単なる坂道を設置するのに比べてコストが高くなります。十分な幅や長さが必要なのに加え、雨でも滑りにくい素材を選ばなければならないからです。デザイン性の高い素材を選ぶと、よりコストがアップする傾向にあります。
一般的な玄関スロープの施工費用の相場は、手すりも含めて40万円〜50万円程度です。また、ご自宅の状態によっては、他のエクステリアを撤去・移動するための費用もかかります。予算内で最適なスロープを設置するためにも、丁寧な現地調査に基づく見積もりを出してもらうことが大切です。
なお、介護保険の被保険者と同居している場合は、介護を目的にリフォームを行うと保険金を受け取れる可能性があります。リフォーム計画を立てる際、自治体に問い合わせてみるといいでしょう。
■玄関スロープを後付けする際のポイント
玄関スロープは、ただ設置すればいいわけではありません。安全で使いやすいスロープにするためには、いろいろな点に配慮する必要があります。特に、以下のポイントは必ず押さえておきましょう。
・勾配(こうばい)を緩やかにし、基準値以内に収める
スロープの勾配(傾斜)は、なるべく緩やかにしなければなりません。角度が急なスロープは通行しにくく、とても危険だからです。バリアフリー法では、屋内のスロープの勾配は1/12以下、屋外のスロープなら1/15以下が望ましいと定めています。1/15というのは、段差の高さが1cmならスロープの長さは15cm必要という意味です。
たとえば、玄関に30cmの段差がある場合、適切なスロープの長さは30cm×15=450cm(4.5m)となります。意外と長さが必要であることがおわかりいただけるでしょう。
また、段差が高くスロープが長くなる場合は、9m~10mごとに踊り場を設置する必要があります。予算やスペースが足りないからといってスロープを短くすると、勾配が急になり大変危険なのでご注意ください。
・現地調査をしてもらった上で設置場所を決める
ここまで見てきたように、安全な玄関スロープを設置するためには一定以上のスペースが必要です。ご自宅の構造によっては、門扉・門柱や水道管などへの干渉を避けるため、希望通りの位置に設置できないこともあるでしょう。
よく考えずに設置工事を依頼すると、工事当日になって設置が難しいことに気づいたり、イメージと違うものができ上がったりする可能性があります。トラブルを防ぐためにも、経験豊富な業者に十分な現地調査をしてもらい、細かいところまで相談した上で設置場所を決めることが大切です。
■玄関スロープにおすすめの素材
玄関スロープの素材は、雨の日でも滑りにくく安全に通行でき、車椅子の重さにも耐えられるものを選ぶ必要があります。また、玄関付近を素敵に演出するため、デザイン性も高いのが望ましいでしょう。そこで、玄関スロープにおすすめの素材をご紹介します。
・刷毛引き仕上げ
刷毛引き仕上げ(ハケビキシアゲ)とは、コンクリートを流して乾かないうちに、ホウキで掃いたような刷毛目(はけめ)をつける仕上げ方法のことを言います。意図的にコンクリートに凹凸をつけることで、滑り止めとして機能します。雨の日など、安全性も高まるので人気な工法の一つです。
・スロープタイル
スロープタイルは、文字通り傾斜路に適したタイル材です。タイルの中でも特に耐久性が高い磁器質タイルを使用しているため、人や車椅子が頻繁に通っても耐えられ、年月が経過してもあまり劣化しません。
タイルは本来滑りやすい素材ですが、表面に適切な凹凸をつけることで、滑りにくさと歩きやすさを両立させているのも特徴です。タイルの特性として排水性にも優れ、デザインやカラーバリエーションも豊富に用意されています。
今回ご紹介しました通り、玄関スロープを設置する時は多くのポイントに配慮する必要があります。そのため、玄関スロープに詳しい業者に施工を依頼することが大切です。また、工事には国や自治体の補助金制度を利用できる場合もありますが、経験豊富な業者なら補助金についても詳しく説明してくれます。誰もが使いやすい玄関スロープを作るためにも、まずは専門業者に相談してみましょう。
髙野は駐車場、庭、ブロック塀、門扉などのリフォームを得意としております。玄関スロープの施工実績も豊富で、勾配や素材、幅、設置場所など、細かな点までこだわった高品質な施工が可能です。補助金制度にも詳しく、予算内で最大限にご要望を反映させたプランをご提案いたします。外構・エクステリアのことなら、何でもお気軽にご相談ください。